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薬剤耐性菌分離状況(2020年~2024年)について

お知らせ

 薬剤耐性菌は、現在、世界中で深刻な公衆衛生上の課題となっており、人や動物、さらには環境にもその影響が広がっています。耐性菌が問題となる主な理由としては、感染症治療の難化、死亡率の増加、医療費の増大、動物および畜産業への影響、環境への拡散などが挙げられますが、特に抗菌薬の過剰使用や不適切な使用が、耐性菌の拡大を助長しているとされています。

 

 このような状況を受けて、「ワンヘルス(One Health)」という、人・動物・環境の健康を一体として捉える考え方に基づいた包括的な対策が国際的に推進されています。我が国においても、20234月に新たな「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」(新アクションプラン)が策定され、家畜・家きん分野、養殖水産分野、愛玩動物分野(伴侶動物)の各分野におかれましては獣医師の皆様による対応が進められています。

 

 愛玩動物分野(伴侶動物)については数値目標の設定こそないものの、的確な病原体の同定と治療方針の決定、承認された動物用抗菌薬の優先使用、および人医療上重要な抗菌薬の慎重な使用が強く求められています。農林水産省では愛玩動物(伴侶動物)薬剤耐性菌のモニタリング事業を2017年より開始しており(詳細はこちら)、当施設も本事業に協力し、分離菌株を提供しています。これに基づき、2024年に公開された「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024」(リンク)では、2017年から2023年までの犬猫の耐性率の推移を示しています。当施設は2025年度も同事業に継続して参画し、全国調査への貢献を続けて参ります。

 

 以下に、当施設における分離状況を示します(図12)。

 

1.薬剤耐性菌分離状況(犬 尿培養 菌株数:6,377

 

2.薬剤耐性菌分離状況(猫 尿培養 菌株数3,229

 

 

 ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生大腸菌については、2020年時点で犬29.1%、猫23.1%でしたが、5年後の2024年には犬20.2%、猫15.4%と減少傾向を示しています。また、ブドウ球菌(Staphylococcus intermedius group)のうち、MRS(メチシリン耐性ブドウ球菌)は、2020年に犬52%、猫76%と高い検出率を示しましたが、2024年には犬43.5%、猫50%とやや減少傾向にあるものの、依然として高水準で推移しています。

 

 これらの耐性菌の減少傾向は、日々の診療において微生物検査をご活用いただいている獣医師の先生方や、診療施設のスタッフの皆様のご尽力の賜物だと受け止めております。また、当施設より提供しておりますアンチバイオグラムも、抗菌薬選択の一助としてご活用いただいており、大変うれしく思います。

 

 今後も、皆様のご期待に応えるべく、検査技術のさらなる向上に努めてまいります。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

PDF:薬剤耐性菌分離状況のお知らせ

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